大学紹介動画を制作するとき
「キャンパスをきれいに撮ればよいのか」
「学生インタビューを入れるべきか」
「YouTubeとSNSで同じ動画を使ってよいのか」
と迷う担当者の方もいるでしょう。
大学紹介動画で大切なのは、映像の見栄えから考え始めないことです。
まず、誰に何を伝え、動画を見た後にどのような行動をしてほしいのかを整理する必要があります。
なお、動画を見た人に促したい次の行動は、マーケティング用語で「CTA」と呼ばれることがあります。
大学広報であれば、学部ページを見る、資料請求をする、オープンキャンパスに申し込むといった行動が該当します。
この記事では、大学紹介動画を制作する際のポイントを、ターゲット設定、構成、撮影、音声、SNS・YouTubeでの活用まで順番に解説します。
大学紹介動画を制作する前に「誰に・何を・なぜ伝えるか」を決める
「受験生」を一括りにせず、大学選びの段階まで考える
動画のターゲットを「高校生」や「受験生」と設定するだけでは、十分とはいえません。
高校1・2年生でまだ進路を広く探している人もいれば、高校3年生で複数の大学を比較している人、学部・学科を絞り込んでいる人もいます。
それぞれ知りたい情報が違うためです。
大学を知ったばかりの段階なら、どのような分野を学べるのか、どんな学生が過ごしているのかといった全体像が判断材料になります。
一方、出願を検討する段階では、具体的な授業内容や入試情報、大学生活など、より詳しい情報が求められるでしょう。
また、大学選びには保護者も関わります。
リクルート進学総研と全国高等学校PTA連合会による2025年調査では、高校生と保護者の間で進路について話をする割合は双方で90%前後でした。
さらには高校の教員なども生徒の進路の選択に少なからず関わります。
動画の目的によっては、受験生本人だけでなく保護者や進路指導教員が知りたい情報も整理する必要があります。
「大学の魅力」を具体的な情報へ分解する
「大学の魅力を伝えたい」という目的も、そのままでは撮影内容を決めにくい表現です。
たとえば魅力を、
・何を学べるのか
・どのような授業・実習があるのか
・学生はどのように過ごしているのか
・教員や学生の雰囲気はどうか
・どのような施設や学習環境があるのか
と具体化すると、必要な映像が見えてきます。
マイナビが2025年卒業の高校生を対象に行った調査では、志望校選びで重視するポイントとして「学べる内容」が44.9%で5年連続最多でした。
大学紹介動画でも、校舎やキャンパスの美しさだけではなく、「この大学で何を学べるのか」を具体的に伝える視点が重要だと考えられます。
動画を見た後に、学部ページを見てほしいのか、資料請求やオープンキャンパス参加につなげたいのかまで決めておくと、盛り込む情報をさらに絞りやすくなります。
受験生に伝わる大学紹介動画を制作する5つのポイント
1.冒頭で何についての動画か分かるようにする
動画の冒頭で大学名や長い挨拶を見せた後に、本題へ移る構成が適しているとは限りません。
たとえば学部紹介なら「この学部で何を学べるのか」、オープンキャンパス告知なら「当日どのような体験ができるのか」といった
テーマが早い段階で分かるほうが、視聴者は動画を見る目的を判断しやすくなります。
特にSNSでは、スマートフォン上で複数の投稿を続けて見る場合があります。
そのため「最初の○秒」と一律に決めるのではなく、続きを見る理由が冒頭から伝わっているかを確認しましょう。
2.インタビューだけでなく実際の場面を組み合わせる
学生インタビューは、学生自身の言葉で大学生活を伝える方法の一つです。
ただし、インタビュー映像だけが長く続くと、話している内容を具体的に想像しにくい場合があります。
たとえば学生が「実習が充実している」と話すのであれば、実際の実習風景を合わせて見せる。
「学生同士で学ぶ機会が多い」と説明するなら、ゼミやグループワークの様子を映すといった構成です。
言葉と実際の場面を結び付けることで、受験生が入学後の学びや生活をイメージしやすくなります。
3.音声がなくても主要な内容が分かるようにする
大学紹介動画にナレーションやBGMを使うこと自体に問題はありません。
一方、視聴者がいつでも音声を出せるとは限らないため、重要な情報を音だけに依存させないことがポイントです。
こども家庭庁の令和7年度調査では、スマートフォンでインターネットを利用している高校生のうち、動画視聴を行う割合は91.2%でした。
検索・調べものも87.9%となっており、高校生の日常的な情報収集環境にスマートフォンが深く関わっています。
なお、この91.2%は「大学紹介動画を見る割合」ではなく、スマートフォンでのインターネット利用内容に関する数字です。
学部名や授業内容などの要点は、短いテロップや図でも補うと理解しやすくなります。
ただし、すべての発言を大量の文字に置き換えるのではなく、スマートフォンの画面でも読みやすい情報量を意識します。
4.撮影前に素材を整理し、構成台本を作る
大学紹介動画では、学生、教員、授業、実習、校舎、研究施設、学生生活など、撮影候補が数多くあります。
撮影日になってから内容を考えるのではなく、使用できる既存写真・動画も含めて素材候補を先に整理しましょう。
そのうえで、「どの場面で何を見せるか」を構成台本にまとめます。
先に素材を整理する理由は、編集段階で必要な映像がないことに気づくと、追加撮影や構成変更が必要になる可能性があるからです。
さらに、授業や行事など撮影できる日時が限られるものは、早い段階で確認しておく必要があります。
5.機材と撮影・編集の工夫を分けて考える
高性能なカメラや音響機材は、画質や収録環境を整えるための重要な要素です。
ただし、機材の性能だけで「大学の魅力が伝わる動画」になるわけではありません。
誰を撮るのか、どの授業を見せるのか、どの順番で紹介するのかといった判断は、動画の構成や撮影・編集に関する部分です。
たとえば美しいキャンパス映像を撮影できても、「何を学べる大学なのか」が分からなければ、進路比較に必要な情報は不足します。
機材は映像の品質を支えるもの、構成や撮影・編集は伝える内容を組み立てるものと分けて考えると、制作時の優先順位を整理しやすくなります。
YouTube・SNS・Webで大学紹介動画を活用するポイント
媒体と用途・目的を分ける
YouTubeやInstagramは媒体であり、それ自体が動画制作の目的ではありません。
たとえば、大学公式サイトでは学部や教育内容を詳しく理解してもらう、YouTubeでは授業や学生生活を比較的まとまった内容で伝える
SNSでは大学を知るきっかけを作るといった使い分けが考えられます。
オープンキャンパスで動画を使う場合は、会場での説明を補う目的もあるでしょう。
「Instagram用の動画を作る」と決める前に、誰に何を知ってもらい、次に何をしてほしいのかを確認することが先です。
SNSではスマートフォンでの視聴環境を考える
SNS向け動画では、冒頭からテーマが分かることに加え、画面の見え方にも注意します。
縦型画面で視聴されることが多い媒体へ掲載するなら、縦型の編集を検討するのも方法の一つです。
ただし「縦型動画なら効果が高い」という意味ではありません。利用する媒体の表示環境に合わせ、重要な情報を見やすくするためです。
テロップの位置や文字量についても同様で、スマートフォンの小さな画面で読めるかを実際に確認します。
撮影素材は別用途などへの二次利用も考える
大学紹介のために撮影した学生、教員、授業、施設、イベントなどの素材は、条件が合えば別の広報活動にも利用できます。
たとえば、学部紹介の長めの動画からSNS用の短い映像を切り出して編集したり、キャンパス映像をオープンキャンパス告知へ利用したりする事が可能ということです。
二次利用を撮影前から考えておけば、同じ撮影機会に必要な素材をまとめて確保できる場合があり
その結果、別の動画を制作する際に、改めて撮影しなければならない範囲を抑えられる可能性もあります。
「必ず費用を削減できる」と考えるのではなく、将来の用途まで整理することで不要な撮影や手戻りを減らせるかという視点で検討しましょう。
まとめ|大学紹介動画は「受験生が何を判断するための動画か」から考える
大学紹介動画を制作するときは、まず次の5点を確認してみてください。
「誰が見るのか」「大学選びのどの段階で見るのか」「何を判断してほしいのか」「見た後に何をしてほしいのか」「どこで公開するのか」です。
迷ったときの基準は、「この動画を見ることで、受験生のどの疑問を解決できるのか」。
ここが明確になれば、必要な出演者や撮影場所、構成も選びやすくなります。
株式会社KANSHAでは、映像・動画制作からブランディングまでをトータルに考え
イベントや広告、Webマーケティングなども含めて、お客様のPRや課題解決に取り組んでいます。
大学紹介動画についても、映像そのものを作ることだけでなく、何を誰へ届け、その後どのように活用するのかまで整理することが大切です。
動画制作を検討するときは、まず目的と伝えたい情報を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
【Q&A】
大学紹介動画には何を入れるべきですか?
大学紹介動画に入れる内容は、動画の目的によって決めます。
大学全体を知ってもらうのであれば、学びの特徴、キャンパス、学生生活などの全体像が候補になります。
学部比較が目的なら、授業・実習・教員・学生の声など、学ぶ内容を具体的に理解できる情報を優先するとよいでしょう。
すべてを一本へ詰め込まず、「この動画で何を判断してほしいのか」から内容を選ぶことがポイントです。
大学紹介動画には学生に出演してもらったほうがよいですか?
学生生活や実際の学びを伝えたい場合、学生出演は有効な選択肢の一つです。
ただし、学生を出演させること自体を目的にする必要はありません。
「授業についてどう感じているか」「入学前と後で何が違ったか」など、学生自身の言葉で伝える意味がある内容かを先に考えます。
インタビューだけでなく、実際の授業やキャンパスで過ごす様子を組み合わせると、話の内容を具体的にイメージしやすくなります。
なお学生に限らず職員や教員に出演してもらう際には、あらかじめ権利について書面を取り交わしておくことが重要です。
(使用目的や媒体を限定する場合や本人が卒業・退職してからもその素材を使える期間を設定しておくなど)
大学紹介動画は何分くらいが適切ですか?
一律の最適な長さはなく、用途や媒体によって変わります。
SNSで大学を知るきっかけを作る動画と、学部の教育内容を詳しく説明する動画では必要な情報量が異なります。
「○分に収めること」を先に目的にするのではなく、視聴者に伝える内容と利用媒体を決め、そのうえで必要な長さを検討してください。
YouTubeとInstagramで同じ大学紹介動画を使えますか?
同じ撮影素材は利用できますが、同じ編集版が最適とは限りません。
YouTubeとInstagramでは画面の見え方や視聴される状況が異なるため、動画の長さ、画面の縦横比、構成、テロップなどの映像デザインを調整する方法があります。
素材を共通化しながら、媒体ごとに最適なバージョンを制作すると、撮影した映像を生かしやすくなります。
大学紹介動画の制作費を抑える方法はありますか?
まず、既存の写真・映像を整理し、新たに撮影すべき範囲を明確にすることが大切です。
SNS、大学公式サイト、オープンキャンパスなどへの展開を予定している場合は、必要になるカットを撮影前から洗い出す方法もあります。
同じ撮影日に複数用途の素材を確保できれば、別の機会に撮影する範囲を抑えられる可能性があります。
ただし、制作費は撮影日数、出演者、ロケーション、編集内容などで変わるため、金額だけで比較せず、必要な制作範囲を確認しましょう。