展示会への出展を予定していると、「ブースで動画を流す意味はあるのか」「パネルやパンフレットだけでは足りないのか」と迷うこともあるでしょう。
展示会ブースで動画を活用するメリットは、単に目立たせることだけではありません。
製品が動く様子やサービスの利用場面を見せたり、スタッフによる説明を補ったりと、来場者が内容を理解するまでのさまざまな場面で活用できます。
一方、会社紹介動画を何となく流すだけでは、来場者が知りたい内容と映像がかみ合わない可能性もあります。
大切なのは、「誰に何を伝え、その後どのような行動をしてほしいのか」から動画を設計することです。
この記事では、展示会ブースで動画を使う効果と、動画を成果につなげるための考え方を解説します。
展示会だけで終わらせず、SNSやYouTube、営業、広報、採用へ素材を展開する方法についても見ていきましょう。
展示会ブースで動画を使うことで期待できる4つの効果
来場者に「何を扱うブースなのか」を伝える
展示会では多くの企業が同じ会場に出展するため、来場者に自社ブースの内容を理解してもらう入口が必要になります。
そこで動画を使えば、製品が動いている様子や実際の使用場面などを見せながら、「誰のどのような課題に向けた商品・サービスなのか」を伝えられます。
ただし、動きがあるから目立つというだけでは十分ではありません。
映像を見た来場者が、自分に関係のある展示かどうか判断できる内容になっていることが重要です。
実物では見せにくい動きや利用場面を伝える
大型設備を会場へ持ち込めない場合や、サービスそのものに形がない場合(無形商材)でも、映像があれば利用場面を見せられます。
たとえば、製品が実際に稼働している様子、サービスを利用する流れ、施設や現場での使用イメージなどは、写真や静止した展示物だけよりも動画のほうが説明しやすい場合があります。
反対に、スペックや比較項目などを一覧で確認してほしい場合は、パネルやパンフレットのほうが適することもあるでしょう。
動画ですべてを説明するのではなく、情報の性質によって手段を分けることがポイントです。
スタッフによる説明を補助する
ブースが混雑すると、すべての来場者へすぐにスタッフが説明できるとは限りません。
動画で商品・サービスの基本情報を繰り返し提示しておけば、スタッフが対応するまでの間にも内容を知ってもらえます。
また、共通して伝えたい情報を映像で示し、その後の質問や個別相談をスタッフが担当するという分担も可能です。
動画を「営業担当者の代わり」と考えるのではなく、対面での説明を始めやすくする補助役と考えると、ブース内での役割を整理しやすくなります。
来場者との会話を始めるきっかけを作る
動画に製品の使い方や具体的な利用場面が映っていれば、「この機能はどのような場面で使うのですか」といった質問につながることも考えられます。
スタッフ側から一方的に声をかけるだけでなく、動画を共通の話題にできる点も展示会で映像を使うメリットです。
展示会動画を検討するときは、「どう目立つか」だけではなく、「その映像を見た後、どのような会話へつなげたいか」まで考えてみてください。
展示会ブース動画は「誰に・何を・どこで見せるか」から設計する
最初に「動画を見た後の行動」を決める
動画制作を始めるとき、「かっこいい映像にしたい」「会社の魅力を伝えたい」というところから考えてしまう場合があります。
しかし、それだけでは映像の役割が曖昧です。
まずは、動画を見た来場者に何をしてほしいのかを具体化しましょう。
たとえば、「ブースの中へ入ってほしい」「実物を見てほしい」「担当者へ質問してほしい」「デモを体験してほしい」などです。これらの目的ごとに必要な映像が変わります。
ですので、来場者にとってもらいたい行動を決めてから、伝える内容や構成を考えることが大切です。
マーケティングでは、このような「見た人に促したい次の行動」をCTAと呼ぶことがあります。
通路側とブース内では伝える情報を分ける
通路側のモニターを見る人は、まだ自社の商品やサービスへ強い関心を持っているとは限りません。
そのため、企業の沿革や細かな製品仕様から始めるより、「何を扱っているブースなのか」「自分に関係があるのか」を判断できる情報を優先します。
一方、ブースへ入った人には、製品の仕組み、具体的な使用場面、サービスの流れなど、一段詳しい情報を見せる方法があります。
一本の動画ですべて伝えようとすると情報が増え、最も重要なメッセージが分かりにくくなる可能性があります。
設置場所ごとに動画の役割を考えると、必要な内容を絞り込みやすくなるでしょう。
冒頭から来場者が知りたい情報を見せる
展示会用の動画では、企業紹介を長く行ってから本題へ入る構成が適するとは限りません。
来場者が知りたいのは、「何の商品なのか」「自社の課題と関係があるのか」といった情報です。
冒頭から商品、課題、利用場面などを示し、続きを見る理由を作ることを意識します。
SNS動画でも冒頭が重視されますが、展示会ではさらに「歩きながら見る人がいる」という状況を考える必要があります。
展示会の出展ブースの前を来場者が通り過ぎるのにかかる時間は数秒から10数秒とも言われます。
そのため、映像の早い段階で要点が理解できる構成を検討してください。
音声だけに意味を依存させない
展示会動画へナレーションやBGMを入れること自体に問題はありません。
ただし、周囲の音や来場者との距離によっては、音声を十分に聞き取れないことも考えられます。
また展示会によっては、各ブースから出せる音の大きさに制限が設けられる場合もあります。
そのため、重要な情報は短いテロップ、商品の映像、図など視覚情報だけでも理解できるようにしておくと安心です。
「音を付けるか付けないか」という二択ではなく、「音が十分に聞こえない状況でも要点が伝わるか」という視点で確認するとよいでしょう。
素材整理と構成台本を先に進める
撮影に入る前には、使用できる製品写真、既存映像、CG、ロゴ、図表などを整理します。
そのうえで、どの順番で何を見せるのかを構成台本にまとめます。
素材整理を先に行う理由は、編集段階になってから必要なカットがないことに気づくと、追加撮影や構成変更が必要になる可能性があるためです。
また、撮影機材と映像の見せ方は分けて考えます。
高性能な機材を使うことだけが動画の分かりやすさを決めるわけではありません。
目的に合った構成、必要なカット、テロップの見せ方などを含めて考えることが重要になります。
展示会用の動画はSNS・YouTube・営業・採用にも活用できる
企業と顧客が動画に接する場面は展示会だけではありません。
株式会社サイバーエージェントとデジタルインファクトによる国内動画広告市場調査では、2025年の動画広告市場は8,855億円で、前年比122.2%となりました。
なお、これはインターネット上の動画広告市場に関する数字であり、展示会動画そのものの市場規模や効果を示すものではありません。
このような動画接点の広がりを考えると、展示会のために撮影した素材も、その日だけで使い終えるのではなく、別の企業活動へ展開できないか考えておく価値があります。
媒体と用途・目的を分けて考える
たとえばSNSは「媒体」であり、SNSを使うこと自体が目的ではありません。
新製品の存在を知ってもらうならSNS、商品の詳しい仕組みを説明するならWebサイトやYouTube
営業担当者が個別に説明するなら商談用の動画など、目的によって適した使い方は変わります。
採用で使用する場合も同様です。
展示会用に撮影した社員や現場の映像があったとしても、採用では仕事内容や働く人について知りたい求職者に合わせて構成し直す必要があります。
「どこで流すか」より先に「誰に何を伝えるか」を決めることが、媒体選定でも重要です。
二次利用するなら撮影前から必要な素材を考える
展示会動画を制作した後に、「SNSにも使いたい」「営業資料にも入れたい」と考えるケースもあるでしょう。
もちろん既存素材を再編集できる場合はありますが、最初から複数用途を想定しておけば、必要なカットを撮影時にまとめて準備しやすくなります。
たとえば製品全体の映像だけでなく、細部、使用シーン、スタッフの説明、縦型でも使いやすい画角などを事前に検討できます。
これは「必ず制作費が安くなる」という意味ではありません。
ただし、同じ素材を複数の制作物へ利用できれば、用途ごとにすべてを撮影し直さずに済む場合があります。
展示会、SNS、YouTube、営業、広報、採用を別々の施策として切り離さず、「どの素材をどこで生かせるか」という視点で総合的に設計することが、動画を継続的に活用するポイントです。
まとめ|展示会ブースの動画は「何を見せ、次にどう動いてもらうか」で考える
展示会ブースで動画を使う効果を考えるときは、まず「動画を置けば目立つ」という発想から離れることが大切です。
静止画だけでは伝えにくい動きや利用場面を見せたいなら動画が向いています。
一方、製品仕様や比較項目を一覧で見せたいなら、パネルや資料のほうが確認しやすいでしょう。
迷った場合は、「来場者に伝えたい情報は、静止画や口頭説明だけでは伝わりにくいか」を最初に確認してください。
そのうえで、誰に見せるのか、どこにディスプレイ(モニター)を設置するのか、見た後にどのような行動をしてほしいのかまで整理すると、動画に必要な内容が見えやすくなります。
株式会社KANSHAでは、映像・動画制作からブランディングまでをトータルで考え、映像に加えてイベントや広告、Webマーケティングなども含めながら、お客様のPRや課題解決に取り組んでいます。
展示会だけで終わらない動画活用を考えている方も、まずは「何を誰へ伝えたいのか」を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
【Q&A】
展示会で動画を流すだけでも効果はありますか?
動画を流しただけで、来場者数や商談数が増えるとは限りません。
商品やサービスの内容、動画を流すディスプレイ(モニター)の設置場所、来場者に伝える情報、スタッフとの連携まで含めて考える必要があります。
まずは「動画を見た人に何をしてほしいのか」を決め、その行動につながる内容になっているか確認してください。
会社紹介動画を展示会ブースでそのまま流してもよいですか?
展示会で伝えたい内容と合っていれば利用できますが、そのまま使うことが最適とは限りません。
企業理念や沿革を中心とした会社紹介動画より、展示している製品や来場者の課題を早い段階で示したほうが適する場合があります。
既存動画を使う場合も、展示会の目的に必要な部分だけ切り出して再編集する方法を検討するとよいでしょう。
展示会動画は音声なしでも内容が伝わりますか?
映像、短いテロップ、図などで主要な内容を理解できるようにすれば、音声に依存しない構成にできます。
ナレーションやBGMを使用する場合でも、音声が聞こえなければ内容がまったく分からない状態は避けたいところです。
実際に動画を放映する場所を想定し、視覚情報だけでも要点を追えるか確認してください。
展示会動画の制作費を抑えるにはどうすればよいですか
まず、すでに保有している写真、映像、CG、図表などの素材を整理する方法があります。
既存素材で伝えられる部分と新たに撮影する部分を切り分ければ、必要な制作範囲を判断しやすくなります。
また、SNSや営業などで二次利用する予定がある場合は、撮影前から用途を整理しておくと同じ素材を活用できる可能性があります。
具体的な費用は撮影内容や編集範囲によって異なるため、一律の金額だけで判断しないようにしましょう。
展示会用に作った動画はYouTubeやSNSでも使えますか?
利用できますが、そのまま転載することが最適とは限りません
展示会では会場を歩きながら見る人がいる一方、SNSやYouTubeではスマートフォンなど別の環境で視聴されます。
目的、画面の縦横比、構成、テロップなどを媒体に合わせて調整し、同じ素材から別バージョンを制作する方法も検討してください。