「Z世代に自社の魅力を伝えるには、短い採用動画をSNSへ投稿すればよい」と考えていないでしょうか。
確かに、10代・20代ではX、Instagram、TikTokの利用率が高い傾向があります。
ただし、若い世代が利用している媒体へ動画を掲載するだけでは、仕事内容や働く条件まで十分に伝わるとは限りません。
SNSごとに使われ方も異なるため、掲載先より先に、誰へ何を伝える動画なのかを決める必要があります。
ここでいう「Z世代」とは、1990年代後半から2010年代前半ごろに生まれた世代を指すことが多い言葉です。
ただし、生年の区分は調査機関によって異なり、同じ年代でも就職活動の状況や仕事への価値観は一人ひとり違います。
本記事では、Z世代に刺さる採用動画の特徴を、仕事内容の見せ方、社員の声、動画構成、SNSと採用サイトの使い分けという観点から解説します。
若者向けの演出に偏らず、応募者が自分に合う企業か判断できる動画を目指しましょう。
Z世代に刺さる採用動画とは、応募判断に必要な情報が伝わる動画
採用動画における「刺さる」とは、再生回数が増えることだけではありません。
視聴した人が会社に興味を持ち、仕事内容を理解したうえで、採用サイトの閲覧や説明会予約、応募などの行動へ進める状態を指します。
再生回数が多くても、採用したい人物とは異なる視聴者に届いているだけなら、採用活動の成果とは言い切れません。
動画の目的に応じて、採用ページへの遷移、説明会の予約、エントリー、視聴時間なども確認することが大切です。
また、若い応募者に対して、楽しそうな雰囲気だけを見せればよいわけではありません。
マイナビの「2026年卒大学生就職意識調査」では、企業選択のポイントとして「安定している会社」が51.9%で最も多く、「自分のやりたい仕事ができる会社」が27.2%、「給料の良い会社」が25.2%でした。
この調査は2026年3月卒業予定の大学生・大学院生36,311人を対象としたものであり、Z世代全体の価値観を示すものではありません。
それでも、若い応募者が雰囲気だけでなく、安定性や仕事内容、給与などの具体的な条件も確認していることを考える材料になります。
採用動画では、企業側が伝えたい魅力と、応募者が知りたい情報を分けて考えましょう。
たとえば「風通しのよい職場です」と伝えるだけでは、実際の働き方を想像しにくいものです。
上司へ相談する様子や、部署内での打ち合わせ、入社後の研修などを見せると、言葉の意味が具体的になります。
会社を知ってもらうことが目的なら、短尺のSNS動画が候補です。
仕事内容への理解を深めたいなら、仕事密着動画が向いています。
人間関係や社員の考え方を伝えたい場合は、年次や部署の異なる社員に登場してもらう方法もあります。
給与、休日、勤務地、転勤、福利厚生など、正確な比較が必要な情報は、動画だけで完結させないことも重要です。
募集要項や採用ページの文章と組み合わせ、視聴者が後から確認できる状態を整えます。
Z世代に刺さる採用動画に共通する7つの特徴
1.仕事内容が具体的に分かる
「やりがいのある仕事です」「成長できる環境です」といった抽象的な言葉だけでは、入社後にどのような業務を担当するのか分かりません。
採用動画では、出勤から退勤までの流れ、実際の作業や接客、社内での打ち合わせ、入社直後に任される仕事などを見せます。
仕事の全体像が分かると、応募者は自分の経験や希望と照らし合わせやすくなります。
顧客情報や機密情報など、撮影できない業務もあります。
その場合は、社員による説明、図解、ナレーションを使い、見せられない部分を無理に撮影しないことが大切です。
2.実際に働く社員の言葉が入っている
経営者や採用担当者だけではなく、応募者に近い立場の社員が登場すると、働く姿を想像する材料が増えます。
インタビューでは、長いセリフを暗記してもらう必要はありません。
話す順序や要点をまとめた「構成台本」を用意しつつ、回答まで一字一句決めない方法が良いでしょう。
文章を読み上げるだけになると、本人の言葉や話し方が伝わりにくいためです。
質問には、「入社前に不安だったこと」「最初に任された仕事」「困ったときの相談方法」「仕事で大変なこと」などが考えられます。
よい面だけを答えてもらうのではなく、応募者が判断に迷いやすい点を質問へ変えることが重要です。
3.仕事のよい面だけでなく、現実も伝えている
採用動画は、会社の欠点を強調するためのものではありません。
しかし、忙しい時期や難しい業務、求められる姿勢をすべて隠すと、応募者は自分に合う職場か判断しにくくなります。
「忙しい職場です」と抽象的に伝えるのではなく、「繁忙期には問い合わせが増える」「夕方は接客が集中しやすい」など、状況を具体化します。
あわせて、担当者同士の分担や相談体制を示せば、負担だけを強調せずに説明できます。
厚生労働省によると、令和4年3月卒業者の就職後3年以内離職率は、新規高卒就職者で37.9%、新規大卒就職者で33.8%でした。
ただし、この統計は離職理由や採用動画の効果を示すものではありません。企業と応募者が入社前に相互理解を深める必要性を考える背景として捉えるべき数字です。
4.冒頭で誰に向けた動画か分かる
SNSでは、視聴者が採用情報を探しているとは限りません。
冒頭で職種や勤務地、動画の内容が分からないと、自分に関係のない動画だと判断される可能性があります。
「入社1年目の一日に密着」「未経験から接客を学ぶ流れ」「○○職の仕事を60秒で紹介」など、対象者と内容がすぐ分かる見出しを入れましょう。
冒頭で目立つ演出を入れる目的は、単に驚かせることではありません。
採用したい人に「自分向けの情報だ」と気づいてもらうためです。
5.働く姿を想像しやすい順序で構成されている
採用動画は、情報を多く入れれば分かりやすくなるとは限りません。
誰のための動画か、どのような仕事か、どのような人が働いているかという順に整理すると、視聴者が内容を追いやすくなります。
たとえば、次のような順序が考えられます。
1. 募集している職種
2. 主な仕事内容
3. 一日の流れ
4. 働く社員の声
5. 大変な点と支援体制
6. 研修やキャリア
7. 応募前に確認してほしいこと
この順序がすべての企業に適しているわけではありません。応募前の不安が研修に集中しているなら、研修風景を早めに見せるなど、採用課題に合わせて変更します。
6.視聴後に取る行動が明確になっている
動画を見た後に何をすればよいか分からなければ、興味を持った視聴者が離れてしまう可能性があります。
動画の最後には、採用サイトを見る、募集要項を確認する、会社説明会へ予約する、エントリーフォームへ進むなど、次の行動を示しましょう。
「詳しくはこちら」だけではなく、「社員インタビューの続きは採用サイトへ」「勤務条件は募集要項で確認できます」と案内すると、移動先で得られる情報が分かります。
SNS・YouTube・採用サイトは目的に合わせて使い分ける
SNS向け短尺動画は認知の入口にする
Instagram、TikTok、YouTube Shortsなどの短尺動画では、会社を知らない人へ接触できる場合があります。
一方、視聴者が採用情報を探しているとは限らないため、一つの動画へ多くの情報を詰め込まないことが大切です。
短尺動画では、職種を知ってもらう、仕事の意外な一面を見せる、社員の一言を届けるなど、目的を一つに絞ります。
NTTドコモ モバイル社会研究所が全国15~79歳の6,962人を対象に行った2025年の調査では、X、Instagram、TikTokは10代・20代の利用率が高い傾向でした。
一方、主な使い方は、Xがニュースや話題の把握、Instagramが有名人・知人の動向把握、TikTokが暇つぶしなど、媒体によって違いが見られます。
そのため、「若者が多いから」という理由だけで掲載先を決めず、自社が届けたい情報と媒体での視聴状況を合わせて考えます。
YouTubeや採用サイトでは理解を深める
仕事密着、社員インタビュー、職場紹介などは、短尺動画より詳しい情報を伝えやすい形式です。
SNSで会社を知ってもらい、YouTubeや採用サイトで仕事内容への理解を深め、募集要項で条件を確認してもらうという流れが考えられます。
媒体と目的は、次のように分けると整理しやすくなります。
・SNS:会社や職種を知るきっかけを作る
・YouTube:仕事や社員について詳しく知ってもらう
・採用サイト:制度、募集条件、選考情報を確認してもらう
・会社説明会:質問や個別の不安を解消する
・エントリーフォーム:応募手続きへ進んでもらう
動画は、文章や写真の代わりではありません。
動き、声、表情、職場の空間を伝える場面では動画が役立ち、給与、休日、応募条件などを正確に確認する場面では文章が適しています。
同じ撮影素材を目的別に編集する
制作前に使用媒体を整理しておけば、一回の撮影で集めた素材から、長尺の社員インタビュー、短い要約版、縦型のSNS動画などを作れる場合があります。
ただし、完成した横型動画を後から縦型に切り抜くだけでは、人物やテロップが画面から外れることがあります。
撮影前に縦型と横型の両方で使う可能性を共有し、人物の位置や背景、必要な場面を整理しておきましょう。
素材をまとめて撮影することは、撮影日数を減らす方法の一つです。
しかし、動画本数、撮影場所、出演者、編集内容によって作業量は変わるため、必ず費用が下がるとは限りません。
応募につながる採用動画にするため、制作前に整理したいこと
まず、採用したい人物像を整理しましょう。
年齢だけではなく、新卒・中途、募集職種、未経験・経験者、勤務地、入社後に任せる業務などを確認します。
次に、応募者がどこで迷いやすいかを洗い出します。
採用担当者が説明会や面接でよく聞かれる質問は、採用動画の題材になります。
たとえば、「未経験でも仕事を覚えられるか」という質問が多いなら、研修の流れや先輩へ相談する場面を見せます。
「どのような人が働いているか」が気になるなら、複数の社員へ同じ質問をする構成も考えられます。
動画で見せる情報と、文章で説明する情報も分けましょう。
仕事内容や人の表情、職場の空間は映像で伝えやすい一方、給与や休日、応募資格などは文章で正確に確認できる状態が必要です。
制作会社へ依頼する場合は、映像の雰囲気だけではなく、次の点を確認します。
・採用目的や対象者をヒアリングするか
・応募者へ伝える情報を整理するか
・構成台本を作成するか
・掲載媒体を考慮して撮影するか
・縦型・横型への展開に対応できるか
・採用サイトや説明会への導線も考えるか
・見積もりに含まれる撮影、編集、修正の範囲が明確か
撮影したい内容まで決まっているなら、撮影・編集の対応範囲を中心に比較できます。
一方、採用上の課題や伝える内容が整理できていない場合は、動画の設計から相談できる会社を検討してください。
Z世代に刺さる採用動画を作る際は、若者向けの演出を最初に考えるのではなく、応募者が自社を判断するために何を知る必要があるかを整理することが出発点です。
仕事内容、働く社員、職場の現実、研修、働き方などを具体的に伝え、SNSでは認知、採用サイトでは理解・比較というように役割を分けましょう。
動画の方向性や活用方法まで自社だけで整理することが難しい場合は、設計段階から制作会社へ相談する方法があります。
株式会社KANSHAでは、映像・動画制作だけでなく、イベント、広告、Webマーケティングなどのノウハウを生かし、顧客のブランディングや課題解決に取り組んでいます。
公式サイトでは、採用強化を企業課題の一つとして挙げ、映像だけに限定せず、完全オーダー制で提案する方針を示しています。
【Q&A】
Z世代向けの採用動画は短いほうがよいですか?
短ければよいとは限りません。
会社を知ってもらうことが目的なら短尺動画が候補ですが、仕事内容や働き方への理解を深めるには、仕事密着や社員インタビューなどの詳しい動画が向いています。
SNS用は認知、採用サイト用は理解促進というように役割を分けてください。
採用動画では会社の大変な部分も見せるべきですか?
応募者の判断に必要な範囲で具体的に伝えましょう。
「大変です」とだけ伝えるのではなく、忙しい時期、難しい業務、必要な姿勢とともに、研修や相談体制も示します。
仕事の現実をすべて隠すと、応募者が入社後の姿を想像しにくくなるためです。
採用動画の費用を抑えるにはどうすればよいですか?
使用媒体、必要な動画本数、出演者、撮影場所、必要な素材を制作前に整理します。
一回の撮影で長尺版と短尺版に使う素材を集められる場合は、後日の撮り直しを減らせる可能性があります。
知名度の低い企業でも採用動画を作る意味はありますか?
知名度の高低だけで必要性は決まりません。
文章や写真だけでは伝えにくい仕事の動き、社員の人柄、職場環境を見せる必要があるなら、動画は情報提供の選択肢になります。
求人媒体、SNS、採用サイト、会社説明会など、動画を見てもらう導線も合わせて設計しましょう。