時間も予算もかけて採用動画を制作した。
社内で何度も打ち合わせを重ね、
会社紹介動画としても
見栄えの良い仕上がりになった。
それなのに…
思ったほど応募が来ない。
再生回数はそれなりにある。
「いい動画ですね」と言われることもある。
でも、肝心のエントリー数が増えない。
この状況に、心当たりはありませんか?
実はいま、採用動画を
活用する企業は年々増えています。
動画制作は採用広報の
“当たり前の施策”になりつつあります。
しかし、
「動画を作ること」と「応募が増えること」
は、イコールではありません。
問題は、動画のクオリティではない
場合も多いのです。
本当の原因は、“目的とのズレ”にあります。
求職者が知りたいことと、
企業が伝えていること。
そこに少しでもズレがあると、
どれだけ映像が美しくても
応募にはつながりません。
この記事では、
採用動画を作ったのに応募が来ない理由を、
応募者心理と採用戦略の視点から
解説していきます。
「なぜ成果が出ないのか?」を整理することで、
採用動画の本来の役割が見えてくるはずです。
① 採用動画は増えているのに、なぜ成果が出ないのか?
● 採用市場と動画活用のトレンド
ここ数年、採用活動における
動画活用は急速に広がっています。
就職情報サイト各社の調査でも、
「企業理解のために動画を参考にする」と
回答する学生は年々増加傾向にあります。
特にZ世代やミレニアル世代は、
テキストよりも動画で
情報収集を行う割合が高いと言われています。
YouTubeやSNSが
日常的な情報源となっている世代にとって、
動画は“特別なコンテンツ”ではなく、
最も自然な情報取得手段なのです。
そのため企業側も、
・採用動画を作れば理解が深まるはず
・動画制作をすれば他社より有利になるはず
・動画は効果が高い施策だ
と考え、採用広報の一環として
動画制作に取り組むケースが増えています。
確かに、採用動画の効果やメリットは
存在します。
文章だけでは伝わりにくい
「社内の雰囲気」や「社員の表情」を
可視化できる点は、大きな強みです。
しかし、ここに落とし穴があります。
● よくある誤解
もっとも多い誤解は、
「動画を出せば応募が増える」
という思い込みです。
採用動画=応募増加、
という短絡的な図式で考えてしまうと、
成果が出ないときに原因が見えなくなります。
実際には、
再生回数が多い動画でも、
応募数が伸びないことは珍しくありません。
なぜなら、
再生回数と応募数は、
まったく別の指標だからです。
再生回数は「興味を持たれたかどうか」。
応募数は
「自分ごと化され、行動に移されたかどうか」。
この二つの間には、
大きな心理的ハードルがあります。
つまり、動画制作を採用施策として
活用するなら、
「見られること」だけでなく、
「応募につながる設計」まで
考える必要があるのです。
採用動画のメリットを最大化するためには、
効果の出る構造を理解しなければなりません。
ここを押さえない限り、
どれだけ映像クオリティを高めても、
成果には直結しないのです。
② 応募者心理とのズレが最大の原因
採用動画を制作しても応募が来ない。
その最大の原因は、
応募者心理とのズレにあります。
企業は「伝えたいこと」を
中心に動画を構成します。
一方で求職者は、
「知りたいこと」を探しています。
この“視点の違い”が、
応募につながらない
決定的な要因になっているのです。
● 応募者は何を知りたいのか?
求職者が動画で本当に知りたいのは、
きれいな映像や抽象的な理念ではありません。
多くの応募者が気にしているのは、
次のような点です。
・実際の仕事内容はどのくらい具体的か
・1日の業務の流れはどうなっているのか
・人間関係は良好か
・残業や働き方は現実的か
・評価制度やキャリアパスは明確か
・この会社で将来どう成長できるのか
つまり、応募者は
「自分がそこで働く姿」を
想像できる材料を求めています。
これは応募者心理の根本です。
動画を見ることで、
「ここならやっていけそうだ」
「自分にも合いそうだ」
と感じられなければ、
応募という行動にはつながりません。
● 企業側が伝えている内容
では実際の採用動画はどうでしょうか。
よくある構成は、
・代表の熱い想いを語るメッセージ
・かっこいいオフィスの映像
・抽象的なビジョンやミッションの説明
もちろん、これらが
不要というわけではありません。
企業の方向性を伝えることは、
採用広報において重要な要素です。
しかし問題は、
それだけで終わってしまうことです。
応募者が知りたいのは、
「理念」よりも「現実」です。
理念は共感のきっかけになりますが、
応募を決断する材料としては不十分です。
このズレこそが、
採用動画の内容と応募数が
比例しない理由なのです。
● データ視点で見る“リアル志向”
求職者の情報収集行動を見ても、
その傾向は明らかです。
各種調査では、
多くの求職者が企業HPだけでなく、
・口コミサイト
・SNS
・社員インタビュー記事
などを併用して
情報収集していることが分かっています。
特に口コミサイトの閲覧率は高く、
「リアルな職場情報」を
重視する傾向が強まっています。
これは、
企業が発信する公式メッセージだけでは
不安が解消されないという心理の表れです。
つまり、採用広報戦略において重要なのは、
理想を語ることではなく、
現実を見せること。
採用動画の内容が応募者心理と
一致していなければ、
どれだけ丁寧に制作しても、
効果は限定的になります。
採用動画を成果につなげるためには、
まず「誰のための動画なのか」を
再確認することが不可欠なのです。
③「会社紹介動画」と「採用動画」は違う
動画を活用した企業広報が一般的になるなかで、
「会社紹介動画」と「採用動画」
の違いが曖昧なまま、
同じような作りになってしまっている
ケースが多く見られます。
しかし実際には、
この2つは目的も伝えるべき内容も
まったく異なります。
成果を出すためには、
まずここをしっかりと切り分けて
考える必要があります。
● 会社紹介動画の目的は“外向き”の信頼構築
会社紹介動画は、
主に自社ブランドの認知拡大や、
取引先・投資家への信頼感の醸成を
目的としたコンテンツです。
いわば「企業としての顔」を
外部にアピールする手段として機能します。
そのため、伝える内容としては
企業理念や事業のスケール感、
将来ビジョンなど、
やや抽象度が高くても問題ありません。
登場人物は代表や役員クラスが多く、
トーンも堅実で誠実な印象に
仕上げるのが一般的です。
● 採用動画の目的は“内向き”の共感形成
一方、採用動画は
まったく異なる立ち位置にあります。
応募者が感じている不安…
例えば「どんな人たちと働くの?」
「仕事の雰囲気は?」「残業ってあるの?」
といったリアルな疑問に寄り添い、
それを払拭することが大きな役割です。
動画の中では、
実際に現場で働く社員が登場し、
日常の一コマや率直なコメントを通じて、
「ここなら自分もやっていけそう」と
思わせる“自分ごと化”が重要になります。
● 目的が違えば、作り方もまったく違う
この2つの動画は、
似ているようでいて、
構成や演出が大きく異なります。
たとえば、動画の長さ。
会社紹介動画は2〜3分の
コンパクトな構成が多いのに対し、
採用動画は3〜10分ほどで
社員の1日を追ったり、
対話形式でリアルを引き出したりと、
より時間をかけて共感を生む
ストーリー設計が求められます。
トーンにも違いがあります。
会社紹介では「堅実さ」や「信頼感」が
重視されるのに対し、
採用動画では
「親しみやすさ」や「人間らしさ」が
大きな鍵となります。
出演者も当然変わります。
会社紹介には経営層が多く登場しますが、
採用動画では若手社員や中堅スタッフが登場し、
実際の現場感をリアルに伝えることが重要です。
そして何より、
動画を通して届けたい
“メッセージ”の軸がまったく異なります。
会社紹介では「こんな会社です」
という信頼構築がゴールですが、
採用動画では
「あなたにもこのチームの一員になってほしい」
という、具体的な行動を
促すメッセージが必要です。
④ 応募につながる採用動画の設計ポイント
採用動画を
“応募につなげるためのツール”として
本気で活用するなら、
感覚ではなく戦略が必要です。
ここでは、成果を出している企業が実践している
「採用動画 制作ポイント」を、
4つの視点から解説していきます。
● ペルソナを具体化する
まず最初に取り組むべきは、
「誰に届けたいか」を徹底的に
言語化することです。
「20代の新卒層なのか」「中途の経験者なのか」
「地方在住でU・Iターン希望者なのか」
──ペルソナが曖昧なままでは、
伝えるべき情報もぶれてしまい、
応募増加どころか
“誰にも響かない動画”になってしまいます。
たとえば、若手を採用したい場合は、
社内の年齢構成やキャリア支援体制を
見せることが効果的です。
一方、家庭持ちの中途層であれば、
働き方の柔軟性や福利厚生の
リアルな情報が求められます。
● 不安を先回りして解消する
多くの求職者は、
動画を見る段階で何らかの
“不安”を抱えています。
この不安を放置してしまうと、
せっかく動画を見てもらっても、
行動にはつながりません。
✅ 出勤時間は?
✅ どんな人と働くの?
✅ 昇給やキャリアパスはどうなってる?
こうした疑問に対し、
「1日の流れ」や「社内の年齢層」
「入社後のステップ」などを
映像で具体的に伝えることで、不安を払拭し、
応募への障壁を下げることができます。
たとえ短い動画であっても、
“知りたいこと”にしっかり答えることで、
求職者の心理は大きく動きます。
● ストーリーで“自分ごと化”させる
採用動画は、
単なる「情報の羅列」ではなく、
共感を生むストーリー構成が鍵です。
よくある成功例では、
1人の社員にフォーカスして
・入社前の不安
・入社後の気づきやギャップ
・今、どんな働き方をしているか
という流れで構成することで、
視聴者は自然と“自分の未来”を
重ねやすくなります。
これが「自分ごと化」の力。
結果として、
「ここなら自分もやっていけそう」と
思わせることができるのです。
ストーリーテリングは、
応募者の感情を動かす
「採用戦略」として非常に有効です。
● 応募導線を設計する
そして、どんなに良い動画を作っても
「応募導線」が設計されていなければ、
行動にはつながりません。
動画の最後でしっかり「次の一歩」を促すこと。
これが、応募に直結するかどうかを
分ける重要なポイントです。
✅ 採用LPへのリンクを表示
✅ 社員インタビュー記事と連動させる
✅ LINE応募やカジュアル面談への導線を入れる
など、CTA(Call To Action)を
工夫することで、
視聴後の行動が格段に増えます。
また、YouTubeやTikTokなど、
プラットフォームごとの特性を
踏まえて設計することも大切です。
たとえば、YouTubeなら
概要欄にLPリンクを入れる。
TikTokならコメント欄から
LINE登録へ誘導するなど、
細かい部分で成果に差が出ます。
⑤ それでも成果が出ない場合のチェックリスト
「動画も作った」「ペルソナも設計した」
それでも応募が来ない場合、
どこに原因があるのでしょうか?
ここでは、見落としがちな
チェックポイントを整理してお伝えします。
● 再生回数だけを評価していないか?
「再生回数が◯千回だから成功」
と判断していませんか?
採用動画の目的は“応募”です。
再生数が高くても、
応募者が増えていなければ成果とは言えません。
視聴完了率、視聴者属性、クリック率など、
本来見るべき指標を確認しましょう。
“見られただけ”の動画で満足してしまうと、
改善の糸口が見えなくなります。
● 求職者目線で見直したか?
「自分たちでは良いと思っていたのに…」
というケースは少なくありません。
だからこそ、求職者の視点に立って
見直すことが重要です。
✅ 仕事のリアルな部分が伝わっているか?
✅ 入社後のイメージが湧くか?
✅ 抽象的な言葉ばかりになっていないか?
可能であれば、
内定者や新入社員に動画を見せて、
率直な意見をもらうのも有効です。
● 採用サイト全体との整合性はあるか?
せっかく良い動画を作っても、
それを見る場所が整っていなければ台無しです。
たとえば、
・採用動画のテイストと、
採用サイトのデザインがちぐはぐ
・掲載している仕事内容が動画と異なる
・応募導線が複雑で途中離脱が多い
こうした“設計のズレ”が、
応募を遠ざけている可能性があります。
動画はあくまで全体設計のひとつ。
全体の流れを通して見直しましょう。
● SNSとの連携は設計されているか?
動画を制作しただけで満足してしまい、
「広める導線」が抜けているケースも
多く見受けられます。
YouTubeやTikTokなどに投稿したあとは、
InstagramやX(旧Twitter)、
LINEなどのSNSと連携し、
定期的に露出の場を作ることが大切です。
とくにZ世代・ミレニアル世代は、
SNSから採用情報に触れることが増えています。
「この会社、よく見るな」「雰囲気がわかるな」
と感じてもらう“接触頻度”が、
応募の背中を押す要素になります。
まとめ|採用動画は「作ること」が目的ではない
採用動画を作ることが、ゴールではありません。
本当の目的は、
「自社に共感し、
応募してくれる人を増やすこと」です。
そのためには…
ただ動画を作るのではなく、
応募者の心理を理解し、
その期待と不安に応える「設計」が必要です。
✅ どんな人に届けたいのか
✅ どんな不安を持っているのか
✅ どんな未来を見せてあげられるか
こうした問いに真摯に向き合うことで、
動画はただのPRツールではなく、
強力な“採用戦略の一部”となります。
「動画=応募が増える」
という幻想にとらわれず、
求職者との“本質的な接点”を
丁寧に育てていきましょう。
最後に
採用動画は、
「映像がかっこいいかどうか」よりも、
「どれだけ応募者に寄り添った
設計ができているか」
で成果が決まります。
誰に、何を、どう伝えるか。
その設計からしっかり取り組めるかどうかが、
応募数に大きく影響します。
株式会社KANSHAでは、
企画段階から一緒に伴走し、
成果につながる採用動画の
設計をお手伝いしています。
「なんとなく動画を作る」
から一歩踏み出したい方は、
お気軽にご相談ください。
ご予算や社内事情も含めて、
柔軟に対応可能です。